用語集

■ABL

Asset-Based Lendingの頭文字をとってABL(エー・ビー・エル)という。

動産担保融資のこと。

 

■ADR

裁判外紛争解決手続きのこと。Alternative Dispute Resolutionの頭文字をとってADRという。裁判によることもなく、法的なトラブルを解決する方法、手段など一般を総称する言葉。仲裁、調停、あっせんなど。

訴訟手続によらずに民事上の紛争の解決をしようとする当事者のため、公正な第三者が関与して、その解決を図る手続。

 

■B/S

Balance Sheet(バランス・シート)の略。貸借対照表のこと。

 

■CF

Cash Flow(キャッシュ・フロー)の略。

現金収支のこと。資金の増減を意味する。

営業活動によるキャッシュフロー(本業での現金収支)、投資活動によるキャッシュフロー(投資での現金収支)、財務活動によるキャッシュフロー(借入等調達での現金収支)に分けられる。

 

■DCF

Discount Cash Flow(ディスカウント・キャッシュ・フロー)の略。ディーシーエフと読む。企業が将来生み出すFCF(フリーキャッシュフロー)を現在の価値に割引 き、その合計を事業価値とする方法のこと。割引率はWACC(Weighted Average Cost of Capital)を使用する。

 

■DES

デット・エクイティ・スワップの略。負債を資本(株式)に転換すること。エクイティは資本の意味。負債が株式に変わることで返済義務、金利負担から解放され、財務体質が改善される。未上場株式は処分が難しいため(特に中小企業では)、あまり用いられない手法。

 

■DDS

デット・デット・スワップの略。負債を(資本性借入金に)劣後化すること。デットの意味は負債。スワップの意味は交換。債務を劣後化(後回しに)すること で返済を猶予し、企業に対する金融支援を行う。金融機関としては、(一定条件を満たせば)資本として扱えるため、不良債権としての引当金を積まずに済む (自己資本を毀損せずに済む)という意味もある。

 

■DIP

Debter In Possession(占有を継続する債務者)の略。

民事再生申立て後、旧経営陣が残り再建中のこと。

 

■DIPファイナンス

ディップ・ファイナンスと読む。民事再生法等を申し立てた倒産企業が、申立直後から計画認可までの期間において、運転資金を調達できず事業の継続が困難な場合に、この事業の価値を維持させる一時的な運転資金融資のこと。

 

■EBIT

Earnings Before Intrests and Taxesの略。イービットと読む。

利払い前税引き前当期純利益のこと。

営業利益とほぼイコールの概念。

 

■EBITDA

Earnings Before Intrest,Taxes,Depreciation and Amotizationの略

イービッダー、エビットディーエー、エビタダなどと読みます。企業の稼ぐ力(キャッシュフロー)を簡易的に示す指標。税引き前利益に減価償却費と支払利息を足したり、営業利益に減価償却費を足したりして算出します。フリーキャッシュフローに近い概念。

 

■EBO

Employee Buy-Out(エンプロイー・バイ・アウトと読みます)を略してEBO(イービーオー)といいます。その名の通り、従業員(エンプロイー)が事業や会社を買収したり、経営権を取得すること。

 

■FCF

Free Cash Flow(フリー・キャッシュ・フロー)の略。

利払いや弁済、配当などに(フリーに)充てられる資金のこと。返済原資や配当原資。

 

【算出式】

FCF=(経常利益+支払利息-受取利息)×(1-実効税率)+償却費等-設備投資額-増加運転資本

 

■LBO

エル・ビー・オー。Leveraged Buy-Out(レバレッジド・バイアウト)を略してLBOという。企業買収手法のひとつ。

買収先企業のキャッシュフローを担保に資金を調達し、買収すること。少ない手許資金で大きな資本の会社を買収できる。

 

■M&A

Merger&Acquisitionの略。

企業買収、合併のこと。通常エムエー、エムアンドエーという。再生の局面では、支援者に事業を売却し、その資金力・信用度を活用し再建を図ることがある。

 

■MBO

Management Buy-Out(マネージメント・バイ・アウト)の略。エムビーオー。

経営陣が事業や会社を買収したり、経営権を取得すること。

 

■NCF

Net Cash Flow(ネット・キャッシュ・フロー)の略。

資金の「入」と「出」の差額。

キャッシュ(現金)がいくら増えたのか減ったのかを表す。

正味、純キャシュフローの意。

 

■NOPAT

Net Operating Profit After Taxの略。税引き後のEBIT。

 

計算式は、

NOPAT=営業利益-みなし法人税

 

■P/L

Profit & Loss Statement(プロフィット・アンド・ロス・ステートメント)の略。

損益計算書のこと。

 

■SWOT分析

企業の戦略を立てる中で用いられる分析手法。

企業や組織の強み(strength)、弱み(weakness)、機会(oppotunity)、脅威(threat)を評価・分析する。それぞれの頭文字をとって、SWOT分析と呼ばれる。

強み、弱みは内的要因(自社内)より導き、機会、脅威は外的要因(自社外、マクロ環境)より導く。

 

■アモチ

アモチゼーション(Amortization)の略。

借入金の分割返済の意。均等分割はフル・アモチという。

下記のような感じで返済期間を意味することもある。

・その筋「アモチは?」

・銀行員「7年マックスですね」

 

■アモチゼーション

英語でAmortization。借入金の分割返済の意。

均等分割はフル・アモチという。

 

■売上債権回転期間

受取手形と売掛金の合計(売上債権)の回収に必要な日数を表す。

 

■売上高営業利益率

売上高で営業利益を割ったもの。

企業の総合収益性として、営業利益を重視して把握する場合に用いる。

 

■売上高経常利益率

売上高で経常利益を割ったもの。

企業の総合収益性として、経常利益を重視して把握する場合に用いる。

 

■売上高総利益率

売上高で売上総利益を割ったもの。

取扱っている製品やサービスの収益力を表す。

 

■売上高対支払利息割引料比率

売上高に占める支払利息・割引料の割合。

調達資金のコスト負担状況を表す。

 

■売上高対人件費比率

売上高に占める(販管費中の)人件費の割合。

比率が小さければ、売上に対し効率良く働いているといえる。

 

■売上高対販売費・管理費比率

売上高に占める販管費の割合のこと。

比率が小さければコスト管理が良好。

 

■売上高対労務費比率

売上高に占める製造経費中の労務費の割合のこと。

比率が小さければ労務費の消費効率が高い。

 

■売上高対当期純利益率

売上高で当期純利益を割ったもの。

企業の総合収益性として当期純利益を重視して把握する場合に用いる。

 

■売掛金保証

取引先への売掛金、売掛債権を保証会社が保証し、取引先が支払不能となった場合にあらかじめ設定した保証金額の支払を保証すること、保証サービス。

倒産防止共済も取引先の支払不能に対応する意味では近いが、貸付であることが保証金の支払いとは異なる。

 

■運転資金

=運転資本。事業を行うために必要な資金。

算出式は以下。

経常運転資金(正味営業運転資金)=(売掛金+受取手形)+棚卸資産-(買掛金+支払手形)

 

■運転資本

事業を行うために必要な資金。運転資金。

算出式は以下。

経常運転資金(正味営業運転資金)=(売掛金+受取手形)+棚卸資産-(買掛金+支払手形)

 

■黄金株

株主総会決議等に拒否権を持つ種類株式のこと。拒否権条項付種類株式。

 

■オフバランス

貸借対照表に計上されないこと。貸借対照表上から資産を外すこと。

ROA(資産利益率)を高める効果がある。

 

■オンバランス

貸借対照表に計上されていること。計上すること。

反対語はオフバランス。

 

■買入債務回転期間

売上高で支払手形・買掛金合計(買入債務)を割ったもの。

外部から仕入れる商品や原材料の支払いを、何日分の売り上げで支払えるか示す。数値が大きいほど資金繰りの好転に寄与。

 

■会社更生

法的再生手続き。民事再生との大きな違いは旧経営陣が退陣すること、担保権の実行が禁止されること。上場企業や大会社の再生の際に利用されることが多い。

 

■会社分割

会社を分割して事業を分けること。事業再編法制に則った手続き。分割方法として新設分割と吸収分割があり、その対価は株式であるのが一般的。本社の一事業 部門を子会社化するような場合に用いられる。事業部門の価値が子会社株式に転じることになるので、本社(分割会社)の資産には変化がない。事業譲渡に比べ 許認可等を引き継ぎ易い。

 

■株主総会決議

株主総会決議はその決議内容によって、普通決議、特別決議、特殊の決議の3種類に分けられます。それぞれの決議の決議要件は以下のとおりです。

 

・普通決議…議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数

 

・特別決議…議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の多数

 

・特殊の決議①…議決権を行使することができる株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の多数

 

・特殊の決議②…総株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、総株主の議決権の四分の三(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の多数

 

■仮差押

かりさしおさえと読む。金銭債権の執行を保全するため、債務者の財産処分に制約を加える裁判手続き。

債権者が差押をするには債務名義の取得など要件があり、時間を要することが多い。時間を要した場合、差押対象物が散逸(さんいつ)し、差押できなくなってしまう。これを避けるため、民事保全法の手続として仮差押えがある。文字通り、仮に差し押さえる制度。

 

仮差押えを申し立てる場合、一般的に担保を立てる必要がある。仮差押えは期限の利益の喪失事由になっていることが多い。

 

(仮差押命令の必要性)

第二十条  仮差押命令は、金銭の支払を目的とする債権について、強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。

 

2  仮差押命令は、前項の債権が条件付又は期限付である場合においても、これを発することができる。

 

■仮執行宣言付支払督促

支払督促を受けてから,債務者(支払督促を受けた人)が2週間以内に異議の申立てをしなかった場合に,裁判所は(債権者の申立てにより)支 払督促に仮執行宣言を付さねばならず、この仮執行宣言を付されたものを仮執行宣言付支払督促という。債権者はこれに基づき強制執行の手続(差押え)をとることができる。

 

■仮処分

金銭債権以外の債権の執行を保全するための裁判手続き(金銭債権→仮差押え)。通常、仮処分の申立てに対しては担保を立てることを求められる。

係争物に関するものと地位に関するものに大別され、係争物に関する仮処分命令は、その現状の変更により、債権者が権利を実行することができなくなるおそれがあるとき、又は権利を実行するのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。

 

仮の地位を定める仮処分命令は、争いがある権利関係について債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるためこれを必要とするときに発することができる。

係争物に関する仮処分は処分禁止の仮処分と占有移転禁止の仮処分に分けられる。

 

■為替手形

振出人が支払人(引受人)に受取人(またはその指図者)への支払を委託する使われ方をする手形。約束手形との違いは、代金を支払うのが引受人であること。

現在の国内取引ではあまり使われていない。

 

■議決権制限株式

株主総会の議題につき、議決権の行使制限がある種類株式。

 

■期限の利益

債務者にとって利益となる期限のこと。

借入金などの返済に期限を有していること。

例えば5年ローンの場合、5年の期限の利益を有する、ということになる。

期限の利益を失えば、一般的には一括弁済を迫られることになる。

通常、金銭消費貸借契約書等には期限の利益の喪失事由が記載されており、当該事由に当てはまった場合に期限の利益を喪失する。

 

■キャッシュフロー

現金収支のこと。資金の増減を意味する。

営業活動によるキャッシュフロー(本業での現金収支)、投資活動によるキャッシュフロー(投資での現金収支)、財務活動によるキャッシュフロー(借入等調達での現金収支)に分けられる。

 

■強制執行

強制執行は民事執行手続きのひとつ。いわゆる差押えの手続き。

主に不動産に対するもの、債権に対するもの(預金口座への差押など)がある。

勝訴判決を得たり,相手方との間で裁判上の和解が成立したにもかかわらず,相手方がお金を支払ってくれなかったり,明渡しをしてくれなかったりする場合に,判決などの債務名義を得た人の申立てに基づいて,相手方に対する請求権を,裁判所が強制的に実現する手続のこと。

 

■緊急保証制度

「緊急保証制度」は、業況の悪化した中小企業の資金繰りを円滑にするため、平成20年10月31日に創設されたものです。これは、中小企業の方々が金融機 関から融資を受ける際、信用保証協会が100%債務保証をするというもの。借り手の中小企業が資金の返済をできなくなった場合は、信用保証協会が銀行への 返済を100%保証するため、金融機関から中小企業への融資がスムーズに行われるようになります。

 

■金銭消費貸借契約

金銭消費貸借(きんせんしょうひたいしゃく・けいやく)とは、お金を借りる際に締結する契約のこと。借用書との違いは貸し手、借り手ともに署名押印する点 (一般的に借用書は借り手が差入れる形式)。消費貸借(民法587条)契約でその内容が金銭の貸し借りのところ、金銭消費貸借と呼ばれる。

 

民法587条(消費貸借)

 

消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって,その効力を生ずる。

 

■金消(きんしょう)

金銭消費貸借(きんせんしょうひたいしゃく)契約の略。

 

■円滑化法

中小企業金融円滑化法の略称

 

■金融検査マニュアル

金融検査マニュアルは、金融庁の検査官が金融機関を検査する際の手引書。

正式名は「預金等受入金融機関に係る検査マニュアル」。

金融機関はこのマニュアルに反することはできないため、この内容を知ることは債権者交渉の点でとても重要。

 

平成14年には中小企業等の債務者区分などの検証にどのように適用するかについて、その検証のポイントと具体的な運用例をまとめた「金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕」が作成、公表された。

 

■金融検査マニュアル別冊

金融機関が中小企業の信用格付けを行う上で基準とするマニュアル。

中小企業等の債務者区分については、財務面における代表者等との一体性、企業の技術力、販売力や経営者本人の信用力等 を検査の際にきめ細かく検証することが必要とされるため、14年6月、「金融検査マニュアル」を中小企業等の債務者区分などの検証にどのように適用する かについて、その検証のポイントと具体的な運用例をまとめた「金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕」が作成、公表された。

 

■繰欠(くりけつ)

繰越欠損金の略。

 

■繰越欠損金

繰越控除される欠損金のこと。

確定申告書を提出する法人の各事業年度開始の日前9年以内に開始した事業年度で、青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金額は、その各事業年度の所得金額の計算上損金の額に算入される。

 

繰越欠損金がその事業年度開始の日前9年以内に開始した事業年度のうち2以上の事業年度において生じている場合には、最も古い事業年度において生じたものから順次損金算入される。

 

■経営革新計画

中小企業新事業活動促進法に基づく経営革新計画書のこと。経営革新計画書を作成することで、経営理念の社員との共有化や経営目標が明確になりやすい。承認を受けると「保証・融資の優遇措置」等の支援措置も用意されているが、融資等支援が保証されているわけではない。

 

■経営セーフティ共済

中小機構の運営する倒産防止共済のこと。取引先が倒産した場合に無利子の貸付を受けられる制度。

 

■競売(けいばい)

「きょうばい」と読まれることもあるが、法律的には「けいばい」と読むため、再生の局面では「けいばい」という読み方が通常一般的。

 

不動産に対して抵当権等担保権が付いている場合で、その担保権を実行(売らせてもらって回収します、ということ)する売却手続方法のことを競売という。

 

競売の流れは、

 

1.債権者が目的不動産の管轄裁判所に不動産執行の申立てを行う。

2.申立てが適法なら開始決定がなされ、差押。

3.裁判所が売却準備のための調査を行い、売却基準価額を設定。

4.売却実施、入札、納付、引渡し。

 

期間的には、通知が来てから1年程度で引渡しに至ることが多いようです。

開札日の前日まで競売の取り下げは可能ですので、それまでに債権者と調整が付けば、取り下げてもらうことも可能です。

 

競売価格は市場流通価格の2割~3割引きくらいが通常(人気物件はほぼ同額のようですが)。そのため、債権者もできれば競売ではなく、任意で売却してくれた方がありがたいと考えます。期間的な面からも任意売却に経済合理性がありますが、価格決定プロセスの透明性や公平性を問われる場合、競売手続を選択することが多く見受けられます。

 

■公正証書

公正証書とは、公証人が公証人法・民法などの法律に従って作成する公文書のこと。公正証書には、遺言公正証書、任意後見契約公正証書、金銭の貸借に関する契約や土地・建物などの賃貸借に関する公正証書、離婚に伴う慰謝料・養育費の支払に関する公正証書並びに事実実験に関する公正証書などがある。

事業用定期借地権と任意後見契約は公正証書にしなければならない。

 

■固定資産回転率

固定資産で売上高を割ったもの。

回転率が高いほうが資金繰りに余裕をもたらす。

また、効率的な資産活用が行われているともいえる。

 

■債権回収会社

債権管理回収業に関する特別措置法による民間債権回収会社のこと。

サービサーともいう。

不良債権の処理等を促進するため,弁護士法の特例として,債権管理回収業を法務大臣による許可制をとることによって民間業者に解禁する一方,許可に当た り,暴力団等反社会的勢力の参入を排除するための仕組みを講じるとともに,許可業者に対して必要な規制・監督を加え,債権回収過程の適正を確保しようとす るもの。

 

■債務名義

債務名義とは,強制執行によって実現されることが予定される請求権の存在,範囲,債権者,債務者を表示した公の文書のこと。民事執行法第22条に記載されている。

 

強制執行を行うには,この債務名義が必要。主に確定判決、仮執行宣言付判決、仮執行宣言付支払督促、和解調書・調停調書がある。

 

【民事執行法第22条】

 

1.確定判決(同条1号)

~「100万円を支払え。」又は「○○の建物を明け渡せ。」などと命じている判決で,上級の裁判所によって取り消される余地のなくなった判決を言います。

2.仮執行の宣言を付した判決(同条2号)

~仮執行の宣言(「この判決は仮に執行することができる。」などという判決主文)が付された給付判決は,確定しなくても執行することができます。

3.抗告によらなければ不服を申し立てることが出来ない裁判(同条3号)

4.仮執行の宣言を付した支払督促(同条4号)

5.訴訟費用の負担等の額を定める裁判所書記官の処分(同条4号の2)

6.金銭の支払等を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述(執行受諾文言)が記載されているもの(執行証書、同条5号)

7.確定した執行判決のある外国裁判所の判決(同条6号)

8.確定した執行決定のある仲裁判断(同条6号の2)

9.確定判決と同一の効果を有するもの(同条7号)

 

■差押え

債権等の強制執行や担保権の実行のために行われる裁判手続きのこと。債務名義により行われ、執行文の付与された債務名義の正本に基づいて実施される。差押がなされると勝手に処分(譲渡等)できなくなる。一般金融機関は余程でないと差押はしない(担保や保証を取っていることもある)が、税の滞納については急に差押を打たれることもあるので注意が必要。

 

(債務名義)

 

民事執行法第22条:強制執行は、次に掲げるもの(以下「債務名義」という。)により行う。

 

一  確定判決

二  仮執行の宣言を付した判決

三  抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判(確定しなければその効力を生じない裁判にあつては、確定したものに限る。)

三の二  仮執行の宣言を付した損害賠償命令

四  仮執行の宣言を付した支払督促

四の二  訴訟費用若しくは和解の費用の負担の額を定める裁判所書記官の処分又は第四十二条第四項に規定する執行費用及び返還すべき金銭の額を定める裁判所書記官の処分(後者の処分にあつては、確定したものに限る。)

五  金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの(以下「執行証書」という。)

六  確定した執行判決のある外国裁判所の判決

六の二  確定した執行決定のある仲裁判断

七  確定判決と同一の効力を有するもの(第三号に掲げる裁判を除く。)

 

■サービサー

債権管理回収業に関する特別措置法による民間債権回収会社のこと。

不良債権の処理等を促進するため,弁護士法の特例として,債権管理回収業を法務大臣による許可制をとることによって民間業者に解禁する一方,許可に当た り,暴力団等反社会的勢力の参入を排除するための仕組みを講じるとともに,許可業者に対して必要な規制・監督を加え,債権回収過程の適正を確保しようとす るもの。

 

■産活法

産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法。略称は「産活法」。

国際競争力の強化を目指した民主導の戦略的な産業再編等を促していくとともに、ベンチャー等の成長企業による新事業展開、地域中小企業の活性化等を後押しする。

 

制度・資金調達面での支援、支援機関(中小企業再生支援協議会、事業再生ADR、産業革新機構)の設置。

 

計画類型は7つ。

・事業再構築計画

・経営資源再活用計画

・経営資源融合計画

・債権放棄を含む計画

・事業革新新商品設備導入計画

・資源生産性革新計画

・資源制約対応製品生産設備導入計画

 

金融機関が債権放棄をした場合、資産評価損の損金算入が認められている。

 

■事業再生ADR

中立公正な第三者の関与により、裁判外手続(ADR)で再建計画や債務調整に関する合意を得て事業再生を図る制度。

事業再生に係る認証紛争解決事業者(事業再生実務家協会が認証1号で唯一)が、中立公正な立場の専門家を手続実施者予定者として推薦し、当該実施者がADR手続を主宰し、再生計画にういて債権者・債務者間の仲介・調整をし合意を図る。

 

計画は原則3年以内の経常黒字化と債務超過解消が求められ、株主、経営者責任が厳格。

金融機関が債権放棄に応じた場合、原則損金算入が認められる。

再生計画の承認には債権者全員の合意が必要。

費用は高額(5千万円程度)。

 

■事業譲渡

事業を譲渡(売却)すること。会社全体の事業を譲渡する場合や会社の一部事業を譲渡する場合に使われる商取引。事業を売却する取引のため、譲渡対価(売買 価格)が発生する。通常は金銭での取引。会社分割に比べ、成立までにようする時間が少なく済むことが多い。譲渡対価の算定方法を恣意的に操作すると、後で 詐害行為等で譲渡が無効とされることがあるので注意が必要。事業継続上、許認可の引き継ぎが不可欠の場合には不向き。

 

■自己資本当期純利益率

自己資本(純資産)で当期純利益を割ったもの。

株主の立場から見た収益力。

 

■執行認諾文言付公正証書

「強制執行認諾文言」と言われる文言が記載された公正証書のこと。

この文言が公正証書に記載されると、約束が守られない場合には、裁判所の判決がなくても公正証書によって強制執行(差押え)をすることができる。

 

■実抜計画

実抜(じつばつ)計画。「実現可能性の高い抜本的な経営再建計画」のこと。“実”と“抜”を採り、「実抜計画」と略して呼ばれる。

 

実抜計画が策定されていれば、条件変更が行われた場合でも、貸出条件緩和債権に該当しない取扱いとなる。計画期間が5年を超え10年以内であり、かつ、明 らかに達成困難であるとは認められない場合には、進捗状況が確認できない計画策定直後であっても、概ね計画通りに進捗しているものとして取り扱われる。

 

■私的整理

法的手続きによらず、債権者・債務者の話し合いによる合意により再生を果たす方法。

 

■私的整理ガイドライン

私的整理に関し関係者間の共通認識を醸成し、私的整理を行うに至った場合の関係者間の調整手続き等をガイドラインとして取り纏めたもの。

 

企業の私的整理に関する基本的考え方を整理し、私的整理を行うに至った場合の具体的な関係者間の調整手続き、対象となる企業の選定基準、再建計画の要件等を予め定めている。

 

法的拘束力は無いが、金融機関等債権者はこのガイドラインを遵守するよう期待されており、実際遵守されることが多い。

 

■支払督促

支払督促とは,債権者の申立内容だけを審査し,裁判所(書記官)が債務者に対して金銭の支払を督促する手続のこと。

 

これに異議がある場合には、督促異議申立書を裁判所に提出する。異議を申し立てると訴訟となる。2週間以内に異議申立書を提出しないと、支払督促に 仮執行宣言が付けられ(確定判決と同一の効力、債務名義になる)、ただちに強制執行を受ける可能性があるので、支払督促を受け取ったら必ず中身を確認すること。無視してはいけません。

 

■資本性借入金

十分な資本的性質が認められる借入金のこと。資本とみなすことができる借入金、劣後ローン。既存のローンを劣後化(DDS)することによりバランスシートを改善することを意図。平成23年11月に“みなす”ことのできる条件が明確化された。条件は以下。

 

償還条件:5年超

金利設定:事務コスト相当の金利の設定可能

劣後性:必ずしも担保の解除は要しない(一定の条件満たす必要有)

 

■取得条項付株式

一定の事由が発生すると会社が強制的に取得できる種類株式のこと。

 

■取得請求権付株式

株主が会社にその取得を請求できる権利の付いた種類株式のこと。

 

■種類株式

会社法108条1項に規定される株式のこと。

 

(異なる種類の株式)

 

第百八条  株式会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる二以上の種類の株式を発行することができる。ただし、委員会設置会社及び公開会社は、第九号に掲げる事項についての定めがある種類の株式を発行することができない。

 

一  剰余金の配当

二  残余財産の分配

三  株主総会において議決権を行使することができる事項

四  譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。

五  当該種類の株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること。

六  当該種類の株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること。

七  当該種類の株式について、当該株式会社が株主総会の決議によってその全部を取得すること。

八  株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会、清算人会設置会社(第四百七十八条第六項に規定する清算人会設置会社をいう。以下この条に おいて同じ。)にあっては株主総会又は清算人会)において決議すべき事項のうち、当該決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の 決議があることを必要とするもの

九  当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役又は監査役を選任すること。

 

■準金銭消費貸借契約

準金銭消費貸借(じゅんきんせんしょうひたいしゃく)契約とは、売掛金など消費貸借によらない債権を消費貸借契約に切り替える契約のこと。準消費貸借の目的物が金銭なので、準金銭消費貸借。

 

民法588条(準消費貸借)

 

消費貸借によらないで金銭その他の物を給付する義務を負う者がある場合において、当事者がその物を消費貸借の目的とすることを約したときは、消費貸借は、これによって成立したものとみなす。

 

■準金消(じゅんきんしょう)

準金銭消費貸借(じゅんきんせんしょうひたいしゃく)の略。

 

■商業手形

実際に行われた商取引について振り出された手形のこと。

支払を手形で行うと、手もと現預金の減少(支払)を一時的に繰り延べられる。

これを振り出せば支払手形、受け取れば受取手形となる。

 

■証書貸付

借用書(金銭消費貸借契約書)を差し入れて融資を受ける方法。

返済期間1年以上の長期借入で使われることが多い。

 

■譲渡制限株式

株式を譲渡により取得する場合、会社の承認を必要とする株式のこと。

 

■少人数私募債

資金調達手段のひとつ。社債の一種で縁故債ともいう。募集できる数が限られている(50名未満)のが特徴。金融機関からは借入ができないが、知人等で支援 者がいる場合に活用。一般的は借り入れに比べ、金利や返済期間、返済方法等柔軟に設計できる。通常、担保を設定することはできない。

 

■処分禁止の仮処分

不動産に関する権利についての登記(仮登記を除く。)を請求する権利(以下「登記請求権」という。)を保全するためのもの。処分禁止の仮処分の執行は、処分禁止の登記をする方法により行う。

 

■セーフティネット貸付

「セーフティネット貸付」には、「経営環境変化対応資金」と「金融環境変化対応資金」があります。前者は、今般の景況悪化等の影響により売上や利益 が減少している中小・小規模企業、後者は国際的な金融不安等を背景に金融機関との取引状況が変化し、資金繰りに困難をきたしている中小・小規模企業の経営 の安定を図るために、政府系金融機関である日本政策金融公庫(日本公庫)が資金を貸し付ける制度です。

 

長期固定の低金利で融資を受けられるというメリットがあり、中小・小規模企業であれば、原則として業種を問わず、利用することができます。

 

■セール&リースバック

資産を処分(売却)して、処分した先からその資産を借り受け、使用すること。再生の現場では、担保に供している不動産を売却、売却先より売却不動産の賃貸 を受け、使用するケースが多い。これにより債務の圧縮が図れ、不動産も使用することが可能となる。ただし、借り受ける際に要する費用(一般的には賃料)の 負担に耐えられる財務状況か否かは慎重に検討しなければならない。

 

■全部取得条項付種類株式

全部取得条項付種類株式とは、株主総会の決議によってその全部を強制的に会社が取得できる種類株式のことをいう。100%減資に用いられることが多い。

 

■占有移転禁止の仮処分

債務者占有者には明け渡し請求等できるが、占有者が変わってしまうとできなくなる。これを防ぐため、占有移転禁止の仮処分の申立てを行う。

 

占有移転禁止の仮処分命令の執行がされたときは、債権者は、本案の債務名義に基づき、次に掲げる者に対し、係争物の引渡し又は明渡しの強制執行をすることができる。

 

・当該占有移転禁止の仮処分命令の執行がされたことを知って当該係争物を占有した者

・当該占有移転禁止の仮処分命令の執行後にその執行がされたことを知らないで当該係争物について債務者の占有を承継した者

※占有移転禁止の仮処分命令の執行後に当該係争物を占有した者は、その執行がされたことを知って占有したものと推定する。

 

■総資本回転率

売上高を総資本(総資産)で割ったもの。

投下資本がどの程度の効率で売上を得られたかを表す。

 

■総資本営業利益率

総資本(総資産)で営業利益を割ったもの。

営業活動の効率性を示す。

 

■総資本経常利益率

総資本(総資産)で経常利益を割ったもの。

総資本を用いてどれだけ経常利益を獲得できたかあらわす。

 

■総資本当期純利益率

総資本(総資産)で当期純利益を割ったもの。

総資本を用いてどれだけ当期純利益を獲得できたかを示す。

 

■損益計算書

企業の一定期間の収益と費用の状態を表す財務諸表。経営成績を示す。P/L(ピーエル:Profit & Loss Statementの略)と称されることも多い。

 

■損益分岐点

売上高と費用が同額になる売上高のこと。

売上高が損益分岐点を下回ると損失が発生し、上回ると利益が出る。

 

算出式は、

 

損益分岐点売上高=固定費÷{1-(変動費÷売上高)}

 

■貸借対照表

企業の一定時点における資産・負債・資本(純資産)の状態を表す財務諸表。

資産-負債=純資産。純資産がマイナスであれば債務超過。

 

■第二会社方式

経営危機に瀕した企業の内部に、収益が見込める事業部門がある場合、その部分を切りだし、新会社として再スタートを図る方法。GOOD事業とBAD事業を 切り分け、いいところだけでも生き残らせる方策。事業の切り離し手法として、事業譲渡や会社分割が利用されることが多い。

 

■棚卸資産回転期間

売上高で棚卸資産(商品・製品、半製品・仕掛品、原材料・貯蔵品等)を割ったもの。平均的な在庫期間をあらわす。

 

■為手(ためて)

為替手形の略称。

 

■中小企業金融円滑化法

平成21年12月4日施行の中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律。この法律により、金融機関は中小企業の借り手や住宅ロー ンの借り手の申込みに対し、できる限り条件変更等行うよう努めなければならない。条件変更を行う際に、経営改善計画等がなくとも、最長1年以内に計画等を 策定できる見込みがあれば、不良債権とはならない。平成23年3月末を以て終了する予定であったが、経済状況等から終了が1年延長され、震災等の影響から 平成24年3月末までまたさらに1年再延長された。

 

■中小企業再生支援協議会

「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法(産活法)」に基づき、 47都道府県に設置されている、中小企業の事業再生に向けた取り組みを支援する「国の公的機関」(経済産業省委託事業)。公正中立な第三者機関という立ち 位置。相談は無料だが、中長期的なアドバイスを専門家に求める場合や、実際の再生計画作り(2次対応)を依頼する場合は別途費用が必要。

 

■重畳的債務引受

「ちょうじょうてきさいむひきうけ」と読む。債務引受とは、もともとの債務者(借り手)から、その債務(返済する責任)を引き受けることをいう。これに「重畳的」と付く場合、もとの債務者からその債務は新債務者へ切り替わらず、負ったままとなる。そのため、もとの債務者と新たな債務者両方とも併存的に債務者と なる。免責的に債務を引受ける場合、債権者(貸し手)の同意が必要だが、重畳的な引受けの場合、同意は不要。第二会社方式による再生スキームの中でよく用いられる。

 

■手形

手形(てがた)。有価証券のひとつ。

大きく分けて、為替手形と約束手形の2種類がある。

手形を発行する者を振出人といい、手形により支払いを受ける者を受取人という。

 

■手形貸付

金融機関等に約束手形を振出し、融資を受ける方法。

一般的に返済期間1年以内の短期資金の融資の際に用いられる。

金融機関は券面額から利息等を指し引いた金額を貸し付ける。

手形は不渡りを2回出すと倒産となるため、返済に対する心理的プレッシャーが強い。

金銭消費貸借契約の貸付債権であるとともに手形債権でもある。

 

■手形のジャンプ

手形のジャンプとは、手形の支払期日を延ばすことを意味する。

資金繰りが逼迫している等手形決済資金が用意できない場合に用いられる。

手形のジャンプ(支払期日の延長)は、手形の書き換え、支払期日の訂正により行われる。

 

■手形割引

約束手形(商業手形)を支払期日前に銀行や割引業者などに売却し、現金化すること。割引料(年4%~15%)と取立手数料を差し引いた金額を受け取ることになる。

手形割引は買戻し請求権が付いていることが多く、この場合、割引いた手形の振出人が倒産する等決済できない状況に陥った際には、代金の弁済を請求される。

 

■動産担保融資

売掛金や棚卸資産を担保として融資をする方法。

不動産等に担保余力がなく、融資が受けられない場合には有効だが、金利は高めなため、計画的に活用しなければならない。売掛債権に譲渡禁止特約が付いている場合は担保として扱われないことが多い。

 

■倒産防止共済

倒産防止共済とは中小企業基盤整備機構の運営する経営セーフティ共済のこと。略して倒産防(とうさんぼう)と呼ばれることもある。

取引先事業者が倒産したことにより売掛金債権等の回収が困難となった場合に、共済金の貸付が受けられる共済サービスであり、特徴は以下のとおりとなっている。

 

【特徴】

・貸付

・無金利

・返済期間5年~7年

・貸付額 50万円~8000万円

(回収困難となった売掛金債権等の額と掛け金総額の10倍のいずれか少ない額)

・損金算入可

 

【貸付が受けられない場合】

・取引先事業者の倒産が加入後6か月未満に生じたもの

・請求が倒産日から6か月を経過した後になされたもの

・中小企業者でない

・貸付金の額が50万円未満の場合

・貸付金の額が共済契約者の月間総取引額の20%未満

の場合

・共済契約者に倒産または倒産に準ずる事態が生じていいるとき

・共済契約者がすでに貸付を受けた共済金の償還を怠っているとき

・倒産した取引先事業者に対し、売掛金債権等を有することとなったこと、またはその回収が困難となったことにつき、共済契約者に悪意または重大な過失があったとき

・上記のほか、共済契約者と倒産した取引先事業者との取引額、代金の支払方法などが確認できないとき

 

■特別決議

特別決議は、会社法309条2項各号で定められている決議内容の場合に当てはまります。決議の要件は、「議決権を行使することができる株主の議決権の過半 数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定 款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。」と規定されています。

 

■特殊決議

特殊の決議は、会社法309条3項各号および4項に規定される決議に関するもので、3項についての決議要件は、「議決権を行使することができる株主 の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合 にあっては、その割合)以上」とされ、4項については、「総株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、総 株主の議決権の四分の三(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上」とされています。

 

■特別清算

解散して清算手続きに入った株式会社が、債務超過などで清算の遂行に著しい支障をきたす場合などに裁判所の監督下で清算業務を行う法的清算手続きのこと。債権者3分の2以上の賛成によって成立。

 

■ネットキャッシュフロー

NCFの項参照。

 

■破産

破産手続とは、債権者その他の利害関係人の利害および債務者と債権者との権利関係を適切に調整し、もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする法的手続のこと。

 

■バランスシート

Balance Sheet(バランス・シート)。貸借対照表のこと。

 

■普通決議

普通決議は、会社法上の別段の定めがある場合を除いたすべての決議に当てはまります。決議の要件は、「議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数」と規定されています。

 

■プレパッケージ型民事再生

民事再生計画中は資金調達が困難になることが多いため、手続き申し立て前にスポンサーを発掘し、スポンサーの資金的支援を背景に再生計画の信憑性を高め、 債権者の承認を得やすくする。手続き申し立て前からそのような仕組みを整えるためプレパッケージと呼ばれる。再生計画承認後再生を実行するにあたっても、 信用補完されるため、取引先との関係も維持できる可能性が高まり、結果、再建のスピードを早める効果がある。

 

■プロラタ

按分の意。英語でProratableというため、略してプロラタと呼ばれる。

 

■プロラタ方式

債権者が複数いる場合に、各債権者の有する債権額に応じて計算した金額をそれぞれ返済すること。

 

例:月でトータル100万円をプロラタ方式で返済する場合

 

・債権者3名でそれぞれ5000万円、3000万円、2000万円の債権を有するとすると、債権総額1億円なのでその割合は各々50%、30%、20%となる。

・月返済額100万円を上記割合で按分するとそれぞれ50万円、30万円、20万円を返済することとなる。

 

■フリーキャッシュフロー

FCFの項参照。

 

■返済猶予法

中小企業金融円滑化法の俗称。

 

■法人格否認

会社の債務について個人は原則責任を負和ないのが原則(連帯保証をしていれば別)だが、この原則を貫くと正義・公平に反すると認められる場合、特定の事案について、その会社の背後にいる株主や別会社を会社と同一視することを法人格否認の法理といいます。

新会社の設立が旧会社の債務逃れを目的としてなされた場合に法人格の濫用が認められ、新旧両会社に責任追及可能という判例があります。近時、債務逃れを目的とした会社分割が認められないという最高裁判決がありましたので、会社分割による再生はますます注意して検討しなければなりませんね。

 

■法的整理

破産法、民事再生法、会社更生法などの法的手続きによる倒産手続きのこと。

再生型(民事再生や会社更生)と清算型(破産など)に大別される。

 

■民事再生

法的な再生手続き。民事再生手続きを申立て、再生計画に承認が得られれば債務のカット等負債の軽減がなされ、事業の継続を図れる。従前の経営陣が残り、再 生を遂行していくが、再生計画承認を得るためには、減資等既存株主また経営者の責任の取り方も問われる。再生計画の実行が頓挫した場合は自動的に破産に移 行する。取引先(特に仕入先)等も債務カットに応じることになるため、その後の取引が困難になる等事業継続に対する悪影響が発生することも十分考慮しなけ ればならない。また、再生計画実行中は金融機関からの資金調達ができなくなることが多いため、資金繰りには注意が必要。

 

■免責的債務引受

「めんせきてきさいむひきうけ」と読む。債務引受とは、もともとの債務者(借り手)から、その債務(返済する責任)を引き受けることをいう。これに「免責 的」と付く場合、もとの債務者は債務を負わなくなる。「“責”任を“免”れる」ので免責的。免責的に債務を引受ける場合、債権者(貸し手)の同意が必要。

 

■役員選任権付種類株式

種類株主総会で取締役または監査役を選任できる種類株式のこと。

 

■約束手形

振出人が一定の期日に名宛人に対して手形記載の金額を支払うことを約する有価証券。振出人とは支払人、名宛人とは受取人のこと。

振出し側は代金の現金支払いを先延ばす効果がある。

逆に受け取り側は代金の現金回収が支払期日までできないことになる。そのため、手もと資金に余裕がない場合は、割引等により現金化することがある。

 

■約手(やくて)

約束手形の略称。

 

■有形固定資産回転率

有形固定資産で売上高を割ったもの。

比率が大きい場合は、有形固定資産への投資が適切であることを示す。

 

■融通手形

商取引に起因しない約束手形のこと。

複数の会社間で約束手形を振出し合い、割引等により資金化する。

資金難の会社同志で行われることが多いため、不渡りになることが多い。

 

■融手(ゆうて)

融通手形の略称。

 

■優先株

配当や残余財産の分配について優先権が付いた種類株式のこと。

 

■リスケジュール

借入金の返済スケジュールを変更すること。元本部分の返済を猶予してもらい、金利のみの支払いに変更することが多い。元本返済を猶予いただくことで、資金 流出を防ぎ、キャッシュフローを安定させる効果がある。猶予期間中に内部改善等利益が出る体質に改善できるかが肝。中小企業金融円滑化法の施行を受け、金融機関は要望に対して比較的柔軟に対応してくれる。

 

■リファイナンス

債務の借り換え。金利負担の重い債務や返済期間の短い債務をより条件の良いものに切り替える。

 

■劣後株

配当や残余財産の分配に制限のある種類株式のこと。後配(こうはい)株ともいう。優先株と反対の意。

 

■レバレッジ

Leverage(レバレッジ)。leverの意味は「てこ」。

借入等他人資本(←これが「てこ」)を使って利益を高めること。

 

■連帯保証

債務者に連帯して保証すること。

通常の保証と違い、連帯保証人には催告および検索の抗弁権がない。

つまり、債権者は連帯保証人に直接に請求できる。

簡単に言えば、「まずは借りたヤツに言えよ」とは言えないということ。

法人での借入の場合、代表者が連帯保証をしている(要求される)場合がほとんど。

 

民法454条:保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない。

 

民法452条:債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない

 

民法453条:債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない