税務署を甘く見てはいけない

経営コンサルタントコラム

2014年11月19日号


こんにちは。経営コンサルタントの池田です。


相談を受けていると、税金や社会保険料を滞納している会社さんを見かけることがたびたびあります。


しかも、この場合、まったく税務署や社会保険事務所などに足を運んでおらず、無視状態になってしまっている例もよく見られます。

借入れ金融機関には何かとお願いに(返済条件の変更など)行っているのに、なかなか足が向かないんですね。


でも、これはあまり宜しくありません。


なぜかというと、国などの行政は裁判を経ずに強制執行できてしまうからです。

強制執行とは平たく言うと差押えのことですね。

裁判手続きを経ずにすぐ差押できちゃう。いきなり来るわけです。


つまり、前日までなんの音沙汰もなかった(本当は「ちゃんと支払ってください」という手紙が来ているわけですが)のに差押えられた!ということが起こり得るんです。


こわいですね。


普通、差押えされるまでには債務名義をとったり、督促を出したりなど事前にやらねばならぬ(異議を述べる機会を与えられている)ことがあり、いきなり差押えられることはありません。


しかし、税金や社会保険料を未納のまま放っておくといきなり来ることがあるのです。


最近の景気で税収が伸び悩むなか、徴収側も回収に躍起となっています。

私の耳にも「某税務署はすぐ差押えるから、要注意だよ」などというコンサル仲間からの情報が入ってきたりしているほどです。


差押えは嫌ですよね。

登記簿にも記載されますので、税金を払ってないのが丸わかりです。

で、差押えられると究極的には競売されることになります。


「うちは不動産にすでに担保設定されているから差押えしても意味ないよ」

という方もいらっしゃるかもしれません。


たしかに、普通は意味の無い差押えはしませんし、無益執行の禁止という大原則があるので、剰余が無ければ基本的にできません。


しかし、現場実務ではたびたび差押えされています。


無剰余だからとたかをくくっていたらといきなり税務署が差押えてきた、ということがたびたび起きています。


つまりは、差押の登記がされてしまうわけですね。


そもそも剰余だ無剰余だというのは、その不動産の価格がはっきりしていなければわかりません。根抵当権が設定されていれば、設定額があったとしても実際にはいくらの債務なのかはわかりません。なので(たぶん)彼らは差押えをしてしまう。


登記手続き自体は書面主義ですから、

書類が整っていれば差押の登記はできてしまいます。


つまりは税や社保の未納を放っておけば、不動産がどういう状況であれ差し押さえされる、ということです。(文句がある場合は異議の申立てができます。)


お金を借りるときに結んだ契約書に解除事項や期限の利益喪失事項の規定がありませんでしたでしょうか。


大抵の場合(おそらくほぼ100%)、差押を受けた場合、という文言が入っています。

ということは、差押えられると期限の利益も喪失することになりますね。

つまり、一括返済を迫られるわけです(無い袖は振れませんが)。


困りますね。


しかも前触れもなく(あくまで主観)斯様な状況に陥ってしまう。


こわいですね。


とはいえ、行政ですからとことんまで極悪非道かというとそうではありません。

きちんと説明に(怒られに)行き、きちんと状況を話し、できること(支払える金額)は何か伝え、承諾をお願いし、決まったことはきちんとやる。


これさえすればいきなり差押えなどという緊急事態は回避できます。

そうです、銀行さんに対してしていることと同じことをすればいいのです。


「税金で食ってる奴がっ」とか「誰のおかげで飯が食えてると思ってるんだ」とか、間違っても口に出してはいけません。(こういう方、案外多いんですよね)


先方も人間です。

心証を悪くして、わざわざこちらから厳しい状況を作る必要はありません。

そもそも税金を払っていなければ、上記のような悪態はつけないはずですが。


国や県・都、社会保険事務所など行政に対しても、銀行さんに対して行っている行動と同じように誠実に説明し、了承を経るというプロセスを必ず踏んでください。

きちんと話せばきちんと対応してもらえます。


もし忘れていた、という方がいらしたらすぐにでも連絡し、会いに行ってください。

避けられる差押えは避け、再生を成し遂げましょう。



コンサルタント